読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

会田誠展を見に行った

森美術館で開催されていた会田誠展を見に行った。
作品としては、TEAMマコプリの「Escape」が一番よかった。ドーム(テント)内に女の子的なエログロがこれでもかと詰め込まれているのを、入り口から覗くことができる。あの中に住んで頭がおかしくなってみたい。
原発問題に対するTwitterの書き込みがコラージュされているという、かなりメディア芸術祭っぽい作品もあった。みんな言っていることはバラバラで、日本人の心の断絶を表現したと紹介されていたのだけれど、大量のつぶやきを無秩序に並べたときのどうでもよさが、集合愚そのものとも言えてよかった。
絵は予想通りと言うか、期待通りだった。分かりやすい。新作の「ジャンブル・オブ・100フラワーズ」が好き。
と、ここまで個人的な感想についてはTwitterでつぶやいた内容を再構成して再録したのだけれど、どうやら会田誠のことが大嫌いな人も多いらしく、もしかしたらそれが多数派なのかもしれないということに衝撃を受け、自分の感覚が(社会的に)正しいのかどうか分からず、ちょっと考えた。

okra2 ここ数年のサブカル界隈ってほんと何番煎じよそれ状態だよなあ・・・。反応を得られた=釣れた!芸術完成!ってvipperのデマポケモンレベルじゃなかろうか。メタ芸に逃げ込むしかないのか。
ohnosakiko 「アートは穏当なものじゃない」と凄みつつ「アートは社会にとって重要なもの」(アート偉い)というような姿勢は、わかるけどまぁ反発買い易いですよね(なんかだんだん潰し合え〜という気になってきているどうしよう
sakuragaoka99 例えば黒人差別の展示と抗議でも、アートだから、という同じ反応なのかには興味がある。/挑戦というが、何に挑戦してるか冷静に考えれば、かなりしょっぱい挑戦かもしれないと思う。
nico-at 「これはアートだから」が全ての免罪符になるって考えの奴まだ居るのか…!!/会田信者もそうだけど、現代アートかぶれの馴れ合い内輪受け文化はそろそろ変化しても良いんだよ
hayakuzaka 会田誠は盗作っぽいし、とても芸術というレベルでなく、私は大嫌いだ。だが、たとえ芸術でなくとも表現は規制されるべきではない、といっておく。作品はクソだと批判するが。
nessko 会田誠は受け狙いにしか見えないし、マジもんに脱皮するためにも抗議は必要なのでは。アメリカは鉄砲持ったお堅いキリスト教徒がいるからアートもぴしっと気合いが入るってとこあるでしょ?
はてなブックマーク - PAPSが森美術館「会田誠 天才でごめんなさい」展に抗議 - Togetter

上記のコメント全てに対して自分なりの回答を出すことは難しいのだけれど、作品を見たり、会田誠のインタビュー

を読んだりした結果では、別に本人としては芸術作品を謳ったものではないんだろうなあ、という印象がある。

【会田】 アートのいい点のひとつに、フットワークの軽さがあります。Chim↑Pomのように思いついてパッとできるみたいな、他の娯楽産業にない“起動力の良さ”というおもしろみはあるでしょうね。ただその代わりお金はかかっていない(笑)。今や現代アートは、現代カルチャーのなかで一番作りは荒い。工芸品のように“出来が良い=完成度が高い”わけではなくて、誰かが思いついたプロトタイプ、つまり試しにやってみたような個人の試みの場としてのアートというものが、存在価値を持っているのだと思います。
会田誠『“かつてエンターテインメントだった”アート〜楽しいを感じてほしい』 3ページ目 | ORICON STYLE

会田誠の作品に反発し、批判している人たちは、芸術作品としての現代アートのクオリティに期待し、そのクオリティに達していない実態に失望したのかも、と捉えることにした。実際、会田誠本人も言うように作りが荒い作品も多い。それは、商業的な作品に求められる”出来の良さ”よりも、発想してすぐに完成させることができるような、フットワークの軽さを優先した結果なのだろう。結果として、映画や出版物としてのマンガなど、商業的に確立されたエンターテイメントの枠にはうまくはまらなかったが、”現代アート”の枠にはなんとか収めることができた、という状態なのでは、と思っている。
そういう作品なので、美術館で展示されるような”芸術作品”としても適切かどうかは怪しい。森美術館にも”芸術作品”を求めて来てしまったのでは?と感じる客層が多く来てしまっており、彼らは困惑・後悔している印象を受けた。森美術館の売り方も、会田誠本人にしても、反発の生みやすさという作品の性質について、事前の周知は不十分であり*1、むしろ彼らが来場し、後味の悪さを味わって帰宅するというのを意図的に狙っている節はあるかと思う。
それを踏まえても、自分としては会田誠はかなり好きな部類に入る。それは、芸術作品として鑑賞する態度で接したのではなく、単純に発想力を期待して見に行ったからなのかもしれない。そういう態度を取ることができたのは、いわゆる芸術作品の王道を知らず、芸術作品を鑑賞する態度が分からなかったせいだろうか。

カリコリせんとや生まれけむ (幻冬舎文庫)

カリコリせんとや生まれけむ (幻冬舎文庫)

*1:周知の努力が必要なくらいなら、そもそも森美術館での展覧会は企画されないかと思うが